Livre para Viver

日本語とポルトガル語とその周辺

堅実な日本人と違い、南米人は人生設計を自分で立てられない

※記者による誘導や、曲解があるかもしれないので、堀氏に対する批判というよりも、こういうコメントに対する批判と捉えていただけると幸いです。

なんだこのレイシズムむき出しの発言は・・・。

外国人生活保護受給者 近年は年5000世帯のペースで急増│NEWSポストセブン

グローバル人財サポート浜松の堀永乃代表が言う。

「高齢化で介護が必要となった親を心配し、働きに出られない世代が増えています。彼らが『楽だから』と頼るのが生活保護。堅実な日本人と違い、南米人は『今日のカネは今日使う』という価値観が主流で、人生設計を自分で立てられないタイプが多い」

こういうコメントを平気で専門家の言葉として載せてしまうポストセブンもポストセブンですが、このコメントにも憤りを覚えます(ただ、この方の事業や他のメディアの発言を見る限り、このようなことを言いそうにはないのですが・・・)。

「堅実な」日本人って・・・。なんすかこれ。自分で言っちゃうのか。日本人は「堅実だから」生活保護を受給することにならず、南米人は「人生設計を立てられないから」生活保護を受給することになる。って。

と、憤りをあらわにしてしまいましたが、この記事に取り上げられたこの発言を2つの点から考えてみたいと思います。

(ただ、この方の代表をされているグローバル人財サポート浜松の理念や、事業には大いに共感します。ひょっとしたら、記者の取り上げ方の問題かもしれません。)

ポストセブンのレイシズムは目に余るものがあるので(産経ほどではない気がしますが)、ここでわざわざ取り上げることもないのかもしれません。それに、この人も、考えてもいないようなことを、「記者の誘導によって*1」発言してしまった可能性もあります。ですから、発言が仮に正しかったとしての批判ととらえて頂けると幸いです。

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※ブラジルから来た人・ペルーから来た人が多く住む群馬県大泉町

1.日本人は堅実、南米人は人生設計を自分で立てられない

 「日本人は堅実で、堅実な私たち日本人のように生きられるようにサポートしますよ」ってことなのかな。(でもこの財団法人のやってることはその対極っぽいんだけども・・・)

でも、こういうサポートが重要なのって、「マイノリティである外国人の人たちが、日本で生きていく」そのサポートだから重要なのであって、「堅実な日本人のように生きる」ことをサポートするのではないと思うのですよね。

「まったくブラジル人(ペルー人)はーこれだからー」って言ってそうで怖い。

そもそも、自分で自分たちのことを「堅実な日本人」っていってしまうあたり、なんだかなーっていう印象をもっちゃいます。

(しかも、仮に日本人が堅実だとして、それは日本人だから堅実になったんじゃないはず。「日本人がぁー」ってくくるのはどうなの?)

この発言だけ見ると、この財団のやっている、日本語教育や介護士養成やなんかも、共生ではなく、同化が目的なの?とか思ってしまいます。(おそらく違うんだと思います。ですが、この事業に関わっていない者からすると、代表の発言を聞いて穿った見方をしてしまいます。)

日本に住んでいる人に対して、日本語教育をすることで、工場以外の仕事の機会を得られるようになったり、介護士の養成をすることで、介護といういままで考えもしなかった仕事の選択肢を広げる、ということであって欲しい。つまり、マイノリティとされてきた人たちが、職業を選択したりするその自由の幅を広げるということが、この財団のやってきていることなのでは?

だとすると、代表であるこの方の発言は、やっぱりなんだかなー、なわけです。

2.南米人は『今日のカネは今日使う』という価値観が主流

この言い方もどうかなと思います。

この方が関わってきた南米の方の多くがひょっとしたらそうだったのかもしれません。

ここで、(さまざまな社会階層の)南米出身の人に多く接触している方であれば、「必ずしもそうではない」、とわかりますが、そうではない方がこの記事を読むと、「ああそうなんだ、南米の人はお金遣いが荒いのね、それで生活保護を受給するなんでけしからん」という印象を持たないとも限りません。

この方の発言が、サポートしている南米の方の首を絞めることにも成りかねないのです。

生活保護を受給することになったのは、いろいろな理由があると思います。

リーマンショック地震で仕事がなくなり会社を首になった、病気になった、怪我をした、などなどです。

多くの南米から来て日本で生活している方は、親がブラジルにいたりして頼ることはできません。

そんな彼らも、収入があるときには、所得税や住民税を支払ってきたわけです。収入が減少したときに、頼る人がいないのであれば、生活保護というサポートを受ける権利も有しているべきであると考えます。

やむを得ず生活保護を受給しなければならない人がいて、そのような人たちの首を絞めるような発言はあってはならないと考えます。

まとめ

少子高齢化の時代を迎える日本に、多くの外国籍の人たちがやってくるのは、確実だと思います。

そんななか、グローバル人財サポートの行っているような事業は、今後重要性が増してくるはずです。

マイノリティとの共生をサポートする立場にある人であればこそ、レイシズムを呼び起こさないように細心の注意を払う必要があるのではないでしょうか。

※記事中にも何度も書いていますが、グローバル人財サポートのやっている事業は重要だと思いますし、この方の発言も曲解されていたり、記者によって誘導されていたりする*2かもしれません。そのことを念頭において読んで頂ければ幸いです。

コミュニティー通訳入門―多言語社会を迎えて言葉の壁にどう向き合うか…暮らしの中の通訳

コミュニティー通訳入門―多言語社会を迎えて言葉の壁にどう向き合うか…暮らしの中の通訳

 

 この本は良書。通訳者として言語の壁を取り払う手助けをするにはどうしたら良いのかが単純明快に分かる。そういう通訳を生み出していきたい。

 

*1:実際、このようなことは、頻繁に起きてるのではないかと想像します。cf.「民族性・国民性」を疑うこと - Livre para Viver

*2:一度、母校の広報誌のインタビューを受けたときの編集者の方の誘導は巧みでした。編集を委託された会社の方でした。それにより意図しないことを書かれてしまった苦い経験があります。