Livre para Viver

日本語とポルトガル語とその周辺

ブラジルといえば「サンバ」「アマゾン」「ビーチ」だよね?

ブラジルのイメージと言えば「サンバ、アマゾン、ビーチ」でしょうか?

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最近はテレビでブラジルが良くでていますが、ブラジルの勝手なイメージばかりに注目した番組が多くて辟易しています。ブラジルは、サッカー、サンバ、アマゾンだけじゃないです。(まぁあたりまえですけどね。しかもサッカー嫌いなブラジル人、サンバ嫌いなブラジル人、アマゾンに行ったことないブラジル人はたくさんいます。当たり前です。相撲が嫌いな日本人がたくさんいるのと同じです。)

ステレオタイプを押しつけるようなテレビ番組には、そろそろ飽きてきています。

そんなわけで、「らしくないブラジル」をご紹介したいと思います。

ヨーロッパ移民によって「作られた」国

良く聞かれるのが、ブラジルの人はどういう人種なの?ということです。

しかし、ブラジルは、まず500年前ごろ、大航海時代に「発見」されました。これによりヨーロッパとのつながりができます。

その頃のブラジルには、インディヘナの人たちが住んでいましたが、彼らを迫害し、植民地としたのです。

ポルトガルの植民地としてのブラジルの始まりです。

当初は、ポルトガル人が国を牛耳っており、そこにアフリカから奴隷が連れてこられていました。

しかし、19世紀後半になって、奴隷の貿易が禁止されると、無給で使われていた奴隷に頼ることができなくなります。

それによって、主にヨーロッパからの移民が流入するようになります。イタリアやドイツを中心とした西ヨーロッパから移民が集まります。その他、東欧、中東、日本からも移民がやってきます*1

ここわずか1世紀ちょっとの間に、ヨーロッパを初めとした様々な国からの移民が、南半球のこの地に訪れたわけです。

ですから、ブラジルには、様々なルーツを持つ人がいます。ポルトガル、アフリカ、ポルトガル以外の西欧、中東、日本などの国からやってきた移民の子孫、戦後は、韓国や中国からも移民が多く来ています。ブラジル人がどんな人種なのというのはナンセンスだということがお分かり頂けるかと思います。

ブラジルの歴史 (世界の教科書シリーズ)

ブラジルの歴史 (世界の教科書シリーズ)

 

 ヨーロッパ文化が色濃く残る南部

そんなわけで、ヨーロッパからの移民がたくさん入植したブラジル南部はヨーロッパの文化を色濃くのこします。

たとえば、ブラジルで人気の高い、グラマード。最南端のRio Grande do Sul州の州都Porto Alegre(ポルトアレグレ)からバスで2時間の場所に位置します(観光客は行かないブラジル「ヨーロッパ風避暑リゾート地・Gramado(グラマード)」 - Livre para Viver)。

雪が降ることでも有名なこの町は、夏でも涼しく、冬は寒く、多くの国内からの観光客で賑わいます。町の風景は、テレビで紹介されるイメージとは大きく異なります。

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また、Bento Gonçalvesという町はイタリア移民が作った町で、ワインの生産や、トマトの加工品の製造などで有名です。Caminhos de Pedra (石の道)という観光名所には、葡萄畑が広がり、イタリア移民の農家が点在しています。

この写真で、ブラジルだと想像できる人はいないのではないでしょうか?

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大都会サンパウロ

ブラジルといえば、「アマゾン」や「ビーチ」だと思ってる人が、サンパウロに来て驚くことと言えば「ジャングルじゃなかった」ということ・・・。

サンパウロは、2000万規模の大都市で、高層ビルが立ち並びます。

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サンパウロから最寄りの海は、サントスです。きれいとはお世辞には言えないビーチが広がります(笑)。サントスはサンパウロからおよそ80km。

サンパウロは山の中にある町で、ビーチやジャングルを想像してブラジルに来ると、衝撃を受けると思います。

まぁ、でもサンパウロもリオも、テレビで頻繁に取り上げられているので、さすがにジャングルだと思ってる人はいないでしょうが・・・。

熱帯の国ブラジル

ブラジルは熱帯の国、常夏だと思われています。が、ケッペンの気候区分では、サンパウロはCfaで温暖湿潤気候(英語だとHumid Subtropical Climate)。日本の大部分と同じです。(もちろん東京や大阪も)

サンパウロの近くを南回帰線が通っているので、赤道からの距離だとちょうど台湾くらいでしょうか。それよりも南は、さらに遠くなります。

夏は日本より涼しく感じます。

驚かれることに、ブラジルは雪の降る地域もあります。

この動画は、記録的な降雪となった去年の映像です。ブラジルの映像とは思えないのではないでしょうか。

ステレオタイプを垂れ流すのはやめて欲しい

これだけ見ても、メディアに写されるブラジルは、ほんの一局面に過ぎないことがわかります。

折角ブラジルが注目されたのだから、様々なブラジルの局面を見せて欲しいなと思います。

私がポルトガル語を話せることや、ブラジルに何年も住んでいたというと、「ブラジルっぽくないねー」とか言われます。(多分、「色白」だとか、「陽気じゃない」とかで思われるんだと思います。)

ですが、不思議と、ブラジルにいるとブラジル人だと認識されていることがあります。日本だと、「日本語お上手ですねー」とか「外国人っぽい」だけで言ったりしますが(上野行雄さんとか、そういう経験をネタにしてたりします)、ブラジルだと、まず言われません。外国人だと分かって初めて言われます。

日本では、そういうステレオタイプがあるんだろうなぁと思って、適当に流しますが、なんだかなーっていう気持ちが残ります。

↓だいたい想像できるから読んでないけど、こういうのが、ブラジルのイメージを作っちゃうんだと思う。

ハゲとビキニとサンバの国―ブラジル邪推紀行 (新潮新書)

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 ↓読んでないけど、割と多様性に注目しているのがこれ。

ブラジル・カルチャー図鑑 ファッションから食文化までをめぐる旅

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*1:ブラジルどころか、ハワイやアメリカ本土に日本からも移民がたくさん行っているということも、意外と知られておらず、驚くことが多いです。