Livre para Viver

日本語とポルトガル語とその周辺

留学生と「日本人」学生がともに学ぶ文章表現クラス

昨年度の後期、主に留学生対象のアカデミックライティングの授業を担当しました。

これは、かなり上級の学生を対象としたもので、卒業論文修士論文、さらには、投稿論文の書き方も含めたライティングの授業でした。人数も10人に満たず、じっくりと進めることができました。

今年度は、学部学生の基礎教養としての(アカデミックライティングを含めた)文章表現や口頭表現の授業を週2コマ、通年で担当しています。

Classroom


人数が多い

そのうちの1コマは、履修登録している人が40人超と、大所帯です。

いままで、最大でも25人のクラスを担当してきた身としては、大きなチャレンジです。

一人一人は見切れないので、グループにして、教科書の課題に取り組み、各グループでまとめたことを、クラスで共有する、という形にしています。

ただ、人数が多いと、課題をやってこない学生が多かったり、教員が見ているときのみグループワークをしていたりと、なかなか統制が難しいところです。

留学生が多い

40人の学生のうち、約半数は日本語が第2言語である留学生です。

いちおう履修条件として日本語能力試験N2「相当」の日本語力があることを課していますが、自分で判断して履修登録をするかどうかを決めてもらっているため、あまり日本語の力が高くない学生も混ざっている気がします。

日本語(運用能)力の高い学生は、日本人学生とグループになっても、積極的にグループワークをしていますし、教科書の課題にも、しっかりと取り組んでいますが、日本語力があまり高くない学生は、課題の意味が理解できていなかったり、意味が分かっても、日本語で表現することが難しく感じているようです。

グループやペアになることで、日本人学生や日本語(運用能)力の高い学生にフォローしてもらうことを目指していますが、なかなか難しいようです。

先週の授業の一コマでの出来事で、ちょっと考えさせられることがありました。

先生、分からないからペアワークしなくてもいいですか?

先週は、「レポートの問題点を指摘することで、アドバイスのしかた・うけかたを学ぶ」というテーマで授業をしていました。

各自、ペアになって、ロールプレイをしていました。出席者の数が奇数だったので、私も一人の学生とペアになってやっていました。そんな最中に・・・

「先生、何をしていいのかわからないからペアワークしなくてもいいですか。一緒にやっている人がやろうとしないし、私もわからないからやりたくないんです」とある留学生が聞いてきました。

私は、その学生がペアになっているのが、留学生でないことを知っていましたから、「ペアの学生にやりかたを教えてもらいつつ、やってみてください。」

と言いました。しかし、

「相手は、私が分からないからやりたがらないんです」というようなことを言ってきました。

グループワークをして、お互い学ぶというのが、授業のひとつの目標です。

40人超だから、私がひとりひとりを見ることはできないですから。

ペアの学生にも聞いてみた

ペアの学生にも事情を聞いてみました。

そうしたら、どうやら、「やり方がわかっていないようだったから説明したが、分かっている様子ではなく、勝手に向こうに行ってしまった」とのこと。

はて、留学生との間で言っていることが矛盾しています。

ただ、恐らく、2人の話を、総合して考えると、

・やりかたが分かっていない留学生に説明をしたが、分かって貰えなかった。留学生も、分かろうとする姿勢があまりなかった。そのため、お互いに練習をできるような状況にならなかった。

ということではないか、と考えます。

学生に学んでほしいこと

今週の授業では、次のようなことを学生にお願いしました。

・留学生であるかいなかにかかわらず、何をやるべきなのかが分からない時には、ペアやグループの人に聞くこと。

・きちんと理解している人は、相手に説明すること。

そのためのグループ(ペア)ワークでもあることを伝えました。

分からないことを聞いたり、分かるように説明することは、アカデミックな場でも、卒業してからの会社や施設などでも必要になることであり、口頭表現の一種です。

レーニングだと思ってやって欲しいなと思います。

 

(蛇足)

この授業では、次の教科書を使っています。

アカデミック・ライティングのみならず、アドバイスの仕方や、議事録の書き方など、大学生や卒業後に必要とされる日本語表現が網羅的に載っていて、非常に役に立つ教科書になっています。いつか改めてご紹介したいと思います。(授業で使う前提になっているため、教科書としてはとても便利です。)

大学生のための日本語表現トレーニング 実践編

大学生のための日本語表現トレーニング 実践編