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日本語とポルトガル語とその周辺

【研究会報告】「看護と介護の日本語教育研究会」教材広場に行ってきました

先日(2018年7月22日)、秋葉原にある首都大のサテライトキャンパスにて行われた「看護と介護の日本語教育研究会」教材広場に行ってきました。

医療系の大学に着任し、看護師や介護福祉士を目指す外国人のための日本語教育の知見を活かせたらと思って行ってきたのですが、収穫は思っていた以上でした。

・看護師国家試験の対策本

看護師国家試験の対策本の発表が2件ありました。本学でも医療系学部に所属する学生の国試への合格は至上命題になっているようです。上記、(留学生向けの)看護師国家試験の対策本は、日本語教育的な知見も踏まえての教材ということで、参考になりました。国試を踏まえた教材づくりというのも大切ですね。国試だけが大事な訳ではないですが・・・。

・介護用語集

介護用語集の発表もありました。

5か国語でわかる介護用語集:英語・中国語・インドネシア語・ベトナム語・日本語

5か国語でわかる介護用語集:英語・中国語・インドネシア語・ベトナム語・日本語

 

山元が今年度より研究分担者になっている科研の代表者を務める三枝先生が共著者になっている本です。

この介護用語集、ぱらぱら見せて頂いたのですが、「サ高住」みたいな略語も載ってるんですよね。国試の勉強で、「サービス付き高齢者住宅」ということばを知っていても、「サ高住」と言われて、即座に、「ああ、サービス付き高齢者住宅のことね」とは普通はなりませんよね。「特養(特別養護老人ホーム)」とか「社福(社会福祉士)」とか、略語を丁寧に見出し語として挙げているのはさすがだなと思いました。私も妻が福祉の専門職なので、それらのことばを知っていましたが、始めて聞いたときは、なんのことやらでしたもん。

・E-learning

「かいごのご」「日本語でケアナビ」などe-learningの教材の発表も多くありました。

今の時代、スマホでちゃちゃっと勉強できるのは大事ですよね。

休憩時間なんかに。

本学の学生も実習などで、本当に忙しそうなので、専門用語のケアは、スマホでちゃちゃっとできるといいのかも。

e-learningの教材が多くできるといいなと思います。

ただ、現状、学部生が使いやすいものは少ないのかなと思うのと、病院ことばみたいなのも勉強できるといいのかな(上記教材にも入っているとは思いますが)、と思います。

・介護記録の書き方テキスト

介護記録の書き方テキストの発表もありました。

市販されている介護記録のテキストは理想的なものであるけど、実際に現場で書くには詳細過ぎるとのことで、実際の現場に即したテキストを作成なさっているとのこと。

私も看護の先生と共同で、看護記録の書きかたテキストを分析してみましたが、やはり同じことが言えました。(この研究は、第10回日本ヘルスコミュニケーション学会学術集会@九州大学、2018年9月15日(土)で発表します)

現場で使うことば、記録を書くのに最低限知っていて欲しいテクニックを網羅したテキストはなかなかないなか、素晴らしい試みだと思いました。

・その他

看護・介護の日本語教育でいろいろな取組をなさっている方々と交流できたことが一番の収穫でした。日本語教師でありながら、介護の知識を得るために介護福祉士の国試に受かったという方、看護学科の先生でありながら日本語教師と共同で教材づくりをしている方、もともと看護師で、現在は日本語を教えているという日本語教師の方など、さまざまな方がいらっしゃいました。

日本語教育、特に、私が関わっている(今後も関わっていくであろう)専門日本語教育の分野では、その専門の方々とともに学際的に研究をしていかなければならないことを痛感しました。

 

【宣伝】

2019年1月を目標に「医療と福祉の専門職を目指す人のための日本語教育研究会」という研究会を立ち上げたいと考えています。そのプレフォーラムを2018年12月8日(土)に国際医療福祉大学成田キャンパスにて開催します。日本語教師だけではなく、理学療法士、看護師、作業療法士、医師、介護福祉士等の専門職の方に来て頂き、医療と福祉の専門職を目指す人の多様化の時代において、必要なことはなにかを議論する場にしたいと思っています。詳細はプレフォーラムのホームページを御覧ください。