Livre para Viver

日本語とポルトガル語とその周辺

「日本語教育能力の判定に関する報告」を公表するためのBBS

このBBSの目的

かねてより文化庁が「日本語教育能力の判定に関する報告」に関する意見を募集しています。 いわゆる日本語教師の資格化に関する意見募集です。 このパブリックコメントについて、どこかで公開したいというご意見を拝見したため、取り敢えずはブログのコメント機能を使うのはどうかと思い立った次第です。

多様な意見があって然るべきだと思いますので、匿名や内容の要約でも構いませんので、こちらにどしどしお寄せ下さい。

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医学と看護を学ぶ留学生の教育のための研究、これまでの発表まとめ

現在、所属している国際医療福祉大学に着任して以来、医学と看護を学ぶ留学生の教育のための研究を行ってきています。 2017年度の後半から今までにかけて、複数の発表を行い、大分溜まってきたので、発表・出版予定のものも含めて、整理するためにこちらにまとめます。(随時更新)

1. 医学に関する研究

2017年2月に国際医療福祉大学に着任して以来、医学の日本語教育に関する知見が少ないことから、医学に関する語彙の研究を進めてきています。2018年4月からは、JSPS科研費基盤(B)のメンバーに入れて頂いています。(予稿集のあるものは、こちらからダウンロードできます。)

1.1 医学語彙に関する研究

発表

  • 2017年7月 山元一晃・品川なぎさ 「医師国家試験分析のためのコーパス構築の試み」(竹園日本語教育研究会、つくば)
  • 2017年10月 山元一晃・品川なぎさ・稲田朋晃「医師国家試験コーパスの構築と名詞語彙の分析―対数尤度比に基づく特徴度を指標として―」(日本語/日本語教育研究会、大阪大学

論文

  • 山元一晃、稲田朋晃、品川なぎさ(2018)「医師国家試験の名詞語彙の対数尤度比に基づく分析と教材開発の可能性」『日本語/日本語教育研究』9, pp. 245-260.

1.2 医学漢字に関する研究

発表

  • 2018年2月 稲田朋晃・品川なぎさ・山元一晃「医学部学生のための漢字語彙の選定と教材開発」(竹園日本語教育研究会、つくば)
  • 2018年8月 稲田朋晃・品川なぎさ・山元一晃佐藤尚子「医療系分野で学ぶ留学生のための漢字教科書の開発」(日本リメディアル教育学会第14回全国大会、創価大学
  • 2019年5月 稲田朋晃・山元一晃・品川なぎさ・佐藤尚子「医療福祉系国家試験の漢字 はどの程度共通しているか」[PDF](2019年度日本語教育学会春季大会、つくば国際会議場
  • 2019年8月 稲田朋晃・品川なぎさ・山元一晃「学習のしやすさを考慮した医療漢字の分類」(日本リメディアル教育学会第15回全国大会、金沢工業大学

教材

語彙の研究および漢字の研究に基づいた教材が、2019年秋出版予定です。

  • 園田祐治・稲田朋晃・品川なぎさ・山元一晃佐藤尚子・佐々木仁子 (印刷中) 『医療にかかわる人のための漢字ワークブック』国書刊行会.

1.3 医学に特徴的な表現に関する研究

発表

  • 2018年3月 品川なぎさ・稲田朋晃・山元一晃「医師国家試験に特徴的な表現の分析 -動詞を中心に-」(専門日本語教育学会第20回研究討論会、名古屋大学
  • 2019年5月 山元一晃・稲田朋晃・品川なぎさ「専門語と一般語のはざま-医師国家試験の語彙からの一考察-」(2019年度日本語教育学会春季大会、つくば国際会議場

2. 看護に関する研究

2018年より看護学科の教員とともに、看護師を目指す人のための教材作りを進めています。
また、教材作りを進めるにつれ、実証的な研究の必要性を感じ、語彙などの調査を進めています。

2.1 実習記録の語彙に関する研究

発表

  • 2019年9月 山元一晃・浅川翔子「手本となる実習記録の語彙の特徴の分析」(言語資源活用ワークショップ2019、国立国語研究所
  • 2019年11月 山元一晃加藤林太郎「看護の実習記録の表現の分析―留学生への支援のために―」(2019年度日本語教育学会秋季大会、島根県立産業交流会館)

2.2 実習記録テキストの開発

発表

  • 2018年9月 山元一晃加藤林太郎・浅川翔子「看護師・看護学生のためのライティングテキストの現状と課題:留学生のためのライティング教育への応用を視野に」(第10回日本ヘルスコミュニケーション学会学術集会、九州大学病院キャンパス)
  • 2018年11月 山元一晃加藤林太郎「看護師を目指す留学生のための実習に即したライティング教材の開発」(2018年度日本語教育学会秋季大会、プラサ・ヴェルデ (静岡県沼津市))
  • 2019年2月 加藤林太郎山元一晃・浅川翔子「電子カルテから情報を収集し課題を完成させるライティング教材」(「具体的な状況設定」から出発する  日本語ライティング教材の開発第4回研究会、早稲田大学
  • 2019年9月 山元一晃加藤林太郎・浅川翔子「医療専門職を目指す留学生のためのアカデミックライティング教材の開発」(第9回国際医療福祉大学学会学術大会、国際医療福祉大学赤坂キャンパス)

論文

  • 加藤林太郎山元一晃・浅川翔子 (印刷中) 「看護系留学生のためのライティング教材開発―電子カルテ等からの情報収集による課題遂行を中心に―」『早稲田日本語教育学』27.

3. その他医療系分野の日本語教育に関すること

国際医療福祉大学における様々な取り組みを、学内の学会で少しずつ発表しています。また、会話に関する研究をちょこっとだけ(笑)しました。

発表

看護学科への学部留学生受け入れを拡大しようとしている大学は、英語圏での取り組みについて読むべきかもしれない

科研費研究の関連で、看護師を目指す留学生のための第二言語教育に関する取り組みに関する論文を読んでいます。

国内における研究は、これまで留学生が多くなかったこともあり多くはないようなのですが、英語圏ではそこそこ論文があります。

その中で、Crawford & Candlin (2012) *1 はかなり網羅的に文献レビューを行っています。

留学生や英語が第二言語の看護師が直面する困難を扱った論文、彼らに対するサポートとその成果について扱った論文など、関連論文が相当数レビューされており、この論文を読むだけで、英語圏における取り組みは、かなり把握できるのではないかと思います。

留学生の受け入れをしている看護系大学はそれほど多くないようですが、今後、看護師不足の中で留学生として看護師を目指す人も増えてくるのではないかと考えられます。

そのような中、英語圏での取り組みは参考になりそうな気がします。

印象に残った部分をいくつか引用します。留学生のレポートを読む人なら納得の一節。

Other students had problems with reference citation and were reported to have copied entire paragraphs from other sources in their scholarly writing because the “words sounded better” (MALECHA ET AL, 2012)

そうですよね。倫理観の欠如ではなく、コピペの方が「良さそうに思える」からこそ、悪気なくコピペをしてしまうんでしょうね・・・。実習のためのレポートなどでもやってしまうことがあると思います。次は受け入れる留学生の入試に関わっている方に呼んで欲しい一節

Also of importance, the literature review (Doutrich, 2001; Pardue & Haas, 2003; Sanner et al., 2002) indicated that English proficiency was highly correlated with success in nursing school.

英語のプロフィシエンシーが 看護師学校における成功に強く関連しているそうです。本学では専門教育が1年次から日本語で行われます。そのことを考えると、入学時に何らかの方法でスクリーニングすることが、学生・教員双方にとって重要かもしれません。そして、日本語の授業を増やして対応すればよいかというと・・・

Starr (2009) reviewed literature and found that additional English classes are often not effective due to simplicity of content and lack of context related to students’ needs; that these students not only need to learn English, but also medical terminology to be successful. 

どうやらそうでないという先行研究があるようです。英語を学ぶだけでなく、医療の専門用語も同時に学ぶことも重要であるという指摘。

先行研究で指摘されていることは、留学生の支援を行っている教職員は直感で感じていることだと思います。

英語圏での取り組みは、第二言語話者が医療の現場での就業を目指してしている留学生を抱えている(これから抱えることになる)大学/専門学校にとって大いに参考になると思います。